ヤドンの定理

経験の差は継続の差なり

勉強会後記(濃度の冪についての命題)

松坂先生の集合論の本を使って同じ学年の子と継続している勉強会.3週間以上議論になった問題に,何となく決着がついたので記録.ほとんど教えてgooの人の回答と同じです.教えてgooを作った人に感謝.

濃度のべきについて -濃度のべきについての証明で、わからないことがあ- 数学 | 教えて!goo

濃度の冪についての証明

 \frak{p}^{\frak{mn}} = \frak{p}^{\frak{m}} \frak{p}^{\frak{n}}

 (proof)

濃度の積,冪などの定義を使えば,上の命題は | \frak{F} \rm{(A \times B, C)} | = |\frak{F} \rm{(B, }\frak{F} \rm{(A, C)} ) | を示すことと同義である.ここで | A| は集合 Aの濃度を表しているとする.

 \frak{F} \rm{(A \times B, C)} の任意の元 fに対して yを固定すると, \frak{F} \rm{(A, C)}  の元になることから, \frak{F} \rm{(B, }\frak{F} \rm{(A, C)} ) の元 \tilde{f} を用いて以下のように表すことができる.

任意の (x,y) \in A \times B に対して, f(x,y) = \left(\tilde{f}(y)  \right) (x)

上記において \tilde{f}(y)) \frak{F} \rm{(A, C)} の元であることを強く意識すること.  \frak{F} \rm{(A \times B, C)} から \frak{F} \rm{(B, }\frak{F} \rm{(A, C)} ) 写像 h h(f) = \tilde{f} とすると, hが全単写であることは以下のようにして示される.

単射

 h(f) = \tilde{f}, \, h(g) = \tilde{g}   とする. f \neq gとすると f(x',y') \neq g(x',y')となるような, (x',y') \in A \times B が存在することが言える.また直前の式は, \left( \tilde{f}(y') \right)(x') \neq  \left( \tilde{g}(y') \right)(x') であることを表している. \tilde{f}(y'), \, \tilde{g}(y') Aで定義された写像であり,上式より Aのある要素において等号が成り立たないため, \tilde{f}(y') \neq \tilde{g}(y') .ここで, Bで定義される写像 \tilde{f}, \, \tilde{g} は, Bのある要素に対して等号が成り立たないため, \tilde{f} \neq \tilde{g} となり,写像 hにおいて,始集合の要素が異なれば,必ず終集合の要素が異なることが示されたため, hは単写である.

全射

任意の f'  \in  \frak{F} \rm{(B, }\frak{F} \rm{(A, C)} ) に対して,  f(x,y) = \left( f'(y) \right)(x) と定めれば, h(f) = f' となる. f \in \frak{F} \rm{(A \times B, C)} )を必ず存在させることができるため, h全射である.

以上の議論を踏まえれば, \frak{F} \rm{(A \times B, C)}  \frak{F} \rm{(B, }\frak{F} \rm{(A, C)} ) の間に全単射 hが存在することになるため,この二つの集合の濃度に等号が成立し,

 \frak{p}^{\frak{mn}} = \frak{p}^{\frak{m}} \frak{p}^{\frak{n}}